非効率であること

非効率であること
今週はまた出張が重なる週となった。
札幌に2日間、岐阜と滋賀で2日、東京に帰って夜は会食という日程である。
私にはどうやら季節バランスみたいなものがあるらしく、
銀行員時代から上期(3−9月)よりも下期(10−3月)の方が営業成績が圧倒的に高い。
下期も12月までで目標に目処をつけて、1−2月は仕込みの時期のためややゆっくりしている。
3月は案件の完成や来期のための準備など自身が盛り上がってくるリズムに入る。
バイオリズムを信じているというよりは自分の中から湧き上がってくるものを素直に受け入れ、
勝負を仕掛ける時期も、自分の中のリズムが整った時を敢えて狙っているのかもしれない。
さて、今回は非効率であることについて考えたいと思う。
結論、当社の経営は非効率である。
私はこの文章を新幹線の中で書いているが、リモートワーク推進すれば、
ZOOM等でお客さまと打ち合わせをして、その中でタスクを整理。
また会議をして少しづつ進捗。
そんな動きがコンサルティング業界では当たり前の動きであろう。
一方の私とすれば、例え1時間の打ち合わせだったとしても、
片道3時間以上はかけて現地に訪問し、打ち合わせをする。
そして内容を持ち帰り、タスクを実行し、進めるための打ち合わせに備える。
Zoomのみであれば、仮に3時間のタスクだったとすると、
私のスタイルで言えば、10時間近くかかることになる。
そのため、私1人が担当できる会社の数にはどうしても上限が発生する。
仮にそれが10社だとすると、売上の限界値はある程度の範囲に収まってしまう。
この仕事をして、50社お客さまがいるというコンサルタントを見かけたこともあり、
後述する事柄から相容れぬ気持ちはあるものの、個人の利益の最大化という観点では正解とも言えるだろう。
私は、これが私のあるべき姿だと思っている。
私のお客さまは「やりたいことはある程度見えているが、ヒトモノカネ情報が不足している」
あるいは「このままではいけないと分かっているが、何をやったら良いか分からない」
ほとんどがこの2つのどちらかに当てはまる。
「やりたいことが決まっていて、欲しいものも決まっている」状態のお客さま、
例えばあるお菓子を売りたくて、その販路を開拓したいとか、宣伝をしたいとか、
求めている機能が明確化されている場合は、私のお客さまになるケースはあまりない。
(最適な人材を紹介するケースは多くあり、プロジェクトの管理を担当することはあるが、
直接的に動く人間は私というよりも、私が紹介する人物である)
「やりたいことはある程度見えているが、ヒトモノカネ情報が不足している」
あるいは「このままではいけないと分かっているが、何をやったら良いか分からない」
このような状態であるお客さまとは、おのずと議論すべき事項が多岐にわたる。
会社の成り立ちや過去の挑戦、それは成功や失敗、社長の経営に対する考え方や今後のプランなど
あげれば枚挙にいとまがない。
を一つ一つ丁寧に伺いながら、会社らしい、その社長だからこその戦略を構築していかなければ、この時代を乗り越えることはできない。
詳細は伏せるが、私のお客さまの新規事業は一言聞くと「なんで、その事業を始めるの?」という意外性がある。
それは、お客さまと一緒に紆余曲折を経ながらも議論を重ねていくことで、
今までは全く関係ない事業が、実は自社が始めることで密接な結びつきとなり、勝ちパターンになるということの確信得たからである。
そんな深い議論が求められる、この仕事。
「リモートワークでちょっと話をする」という、心身が離れた状態では仕事として成立しえないと思う。
直接お会いして、呼吸のリズムまで含めたそのような近さで、話が膨らんで、少し当初の議題から逸れた時に
ビジネスの種は生まれてくるのだと思っているし、実際にそうなっている。
お客さまもリモートワークは手軽で始めやすいと思っているが、結局うまくいかないケースが多い。
新しいビジネスの種はお客さまと机に座って話をしている時に生まれるかもしれないし、
訪問後食事をご一緒させている場で生まれてくるかもしれない。
そんなセレンディピティをひたすら探しているという感覚なのである。
ハートウォーミングなお付き合いから、私も多くを学び取り、成長してきたように思う。
本当にいつもお客さまには感謝しきりと感じている。
さて、三河安城を通り過ぎた。そろそろ名古屋だ。今日も行ってこよう。