最初は失敗する

最初は失敗する
ここまで人生を思い返した時に何事も「最初からうまくいく」ことではなかったなと思う。
幼稚園の時は体が弱く、母によると毎月のように何度も風邪を引いて、休むこともしばしば。
運動センスは、幼稚園の時にかけっこで最下位だった。
勉強は、特に算数が苦手。塾に行かせてもらっても早々成績が上がることもなかった。
銀行員としての仕事も、最初の1年(勉強中心だったけれど)は点でダメだった。同じ支店の同期の中でも成績は一番下だった。最も期待されなかったと思う。
生まれ持った才能や資質は、この点においては皆無だ。
その後を振り返ると(個人の名誉のためにも)
今は独立してから一度も風邪を引かずに全国を駆け巡り(健康診断も一つも引っ掛からず)、運動はバドミントンで東京3位までに、勉強は大学だけでなく大学院まで卒業することができた、仕事も銀行の支店のMVPもらったり、優秀賞で何度も表彰していただいた。そして、今独立して5年ご飯を食べていけている。
ただ、自分自身の性格が「諦め悪い」とか「しつこい」とか、そんなところがあり、人よりも物事をずっと続けてきただけだ。
小学校4年生の時に地域の少年野球団に入った。
最初は点でダメで、泣きながら野球に行ったような気もする。
野球を上手くするためには、まずは走り込みが大切。光が丘公園を毎夜のように母と一緒にランニングした。
ご飯を食べ終わった20時過ぎ、光が丘公園の400mトラックまでの道のりの苦しさ、それを超えるとエネルギーが湧いてくる感覚。今でも鮮明に思い出すことができる。
そのような努力が実を結び、背番号1を貰えてレギュラーになれたし、チームのホームラン王にもなれた。
最初の成功体験だった。
何事も感覚はこうだ。
みんなとスタートを切って、みんなは足が速く私を追い越していく。完全に遅れた。諦めずに、周りを気にすることなく走り続けていくと、気付いたら先頭にいた。
この唯一の素養が自分自身をここまで引き上げてくれたのかもしれない。
遅蒔きながら自分自身について分かったことは、
「最初からうまくいかない星の元に生まれてきた。だから、進むべき道(戦略)を最初から一つに絞らないこと。色々な手を打つ、そうする中で次に向かうべき世界は自ずと見えてくる」
このやり方が自分自身に一番合っているということが分かった。
量が大切で最初から質なんて求めない。やみくもではないがゴールイメージを持ち、後はひたすら行動していくのみだ。
小学校1年生になった娘と妻と朝ドラの「あんぱん」を一週間撮りためて、週末に一気見する。
アンパンマンの作者であるやなせたかし先生が、アンパンマンを生み出したのは晩年だ。
やなせたかし先生は、父親の早逝、母に捨てられた過去、強烈な戦争体験、漫画家として売れず雑誌記者、舞台芸術家、デザイナー、脚本家など何にでも取り組んだ。
最初から上手くいかなかったからこそ、圧倒的に様々なことに取り組んできた。取り組めた。
そのすべての点が線になる。それがアンパンマン。日本人は皆知ってるキャラクターを世に送り込むことができたと僭越ながら理解している。
継続は最大の差別化戦略だ。