「たどり着くのは”営業力”」
「たどり着くのは”営業力”」
早いものでもう今年も12月。
12月は1年が終わるという意味だけでなく、法人としての5期目が終わる月であり、結婚記念日も重なる、節目の多い月である。
最初は1社から始まった当社事業も累計の支援社数は30社を超え、契約が続いている会社は20社前後となった。
今年、強く感じたことがある。
「これからの時代、差別化の本質はますます“営業力”に集約されていく」ということだ。
私の取引先に、ある新規事業を始めた会社があった。
「誰もやりたがらないが、頼む人は多い」仕事であり、
構想から2年をかけて、ようやく事業として立ち上げることができた。
事業計画から社内プレゼン、実務支援まで、パートナーと協力しながらかなり深く関わった。
社内向けの準備は、ほぼ揃っていた。
チラシやパンフレット、想定顧客リストも作成し、営業に出ることの重要性も何度も何度も伝えた。しかし、ある理由によって、動かなかった。
結果として、事業スタートは約6か月遅れることになる。
良い商品なのだから、始めればすぐに売れる。それは間違いだ。
お客さんの立場になると分かるが、私たちは日々どんな商品を買うかについて、決して合理的な判断をしている訳ではない。
カフェに入る時、私たちは豆の産地や焙煎方法を見て店を選んでいるわけではない。「入りやすそうか」「落ち着けそうか」それだけで決めている。
保険に入るとき、約款をすべて読んでから契約する人は、ほとんどいない。
「この人なら大丈夫そう」それがハンコを押す最後の一押しになっている。
家を借りるとき、間取りや価格だけで決めている人はいない。
「営業の人が良さそうだから」答えは別のところにある。
私のお客様である”地方中小企業”が「価格」で選ばれる世界に飛び込んだら、生きていくことは難しい。
この一見不利な状況を打開するのが他ならぬ「営業力」である。
営業力は他社との差別化要素が少ない中、自社商品に強引に導く要素(押し売り、話術)のようなイメージもあると思う。そうではない。信頼を紡ぐプロセスである。
私の例で言うと、新規取引先と話をする時に、
1.自分のキャリアと比較優位なエピソード
2.相互理解のコミュニケーション
3.提案や貢献できることの提案
以上のような順番で話をしていく。
この中で営業として一番大切なこととは何か。
一見すると「1」や「3」こそが営業だと思いがちだが、私は「2」の相互理解のコミュニケーションが最も営業として大切だと考えている。
加えて、この順番が大切だ。私も営業を受けることがある。自社の説明もなく、いきなり現状をヒアリングされるのは結構苦痛だ。
私としては相手のことを知って安心した上で、自分のことを初めて話したくなる。それは動物としての本能に近い部分もあると思う。その原則に決して逆らってはいけない。
営業には回数も大切だ。起業当初は書類選考や面接によく落ちた。
落ちるということは、自分を否定されたような気持ちになる。
そのやり方で案件を追い続けることに疑問を感じ、一度は、事業を拡大すること自体をやめようかと思ったこともあった。
それでも、やり方だけは見直しながら続けることにした。
すると半年ほどで、数字として結果が出始めた。
特別なことはしていない、諦めずに成果が出るまで続けただけである。
だから、数回トライしてすぐにダメと判断してしまうことは止めて欲しい。
営業力の正体とは、
・自分の頭で考えて、やるべきことに取り組むこと(誰かにやらされる営業は相手に刺さらない)
・相互理解コミュニケーションに基づく営業
・成果が出るまで継続しつづけること
私なりに思う。
商品の差別化はとっくに難しい時代、頭脳労働も差別化の限界が見えてきている。
だからこそ今、「営業力」を磨くことが、最大の経営戦略になる。
最後にたどり着くのは、いつだって「人」である。